


リチャード・トレヴィシックは1804年に世界で最初の蒸気機関車を発明した人物であり、イギリスでは彼を『蒸気機関車の父』と称しています。また後に鉄道事業を成功させたジョージ・スティーヴンソンは『鉄道の父』と称されています。
トレヴィシックについて特筆すべき点は、単に世界最初の蒸気機関車を発明したことではありません。なぜならその発明は機関車のみならず多岐に及んでいるからです。
彼が生まれ育ったコーンウォール地方は、すずや石炭を豊富に産出する鉱業の盛んな地域でした。父親は鉱山の支配人でしたが彼が6歳の時、この地区にもかの有名なジェームズ・ワットの大気利用の蒸気機関が導入されました。しかしワットの蒸気機関を使用するには多額のパテント料を支払わなければなりません。彼はワットを最大のライバルとして研究を重ね、19歳の時に炭鉱の深部から出る排水を汲み上げるピストンポンプを考案し実用化に成功しました。1796年にはついに高圧蒸気機関の開発に成功しました。今までエンジンハウスの中に据付けられていた大きな動力源が、この小型で高圧力のボイラーの発明によって車や機関車などの移動機関に利用されることに繋がる画期的な大発明でした。1801年にはイギリスで最初の蒸気自動車『パッフィング・デビル号』を製作し、1804年には有名な世界最初の蒸気機関車『ペニダレン号』を開発しました。この蒸気機関車には円筒形のボイラーや安全弁などの多くの新案が盛込まれ、後に登場する蒸気機関車の基礎となりました。
彼の発明した高圧蒸気機関は、1806年テムズ川の浚渫船に採用され土木事業にも貢献しました。また1812年にはトウモロコシの脱穀機のエンジンにも採用されるなど農業にも多大な貢献をしました。1815年には船舶のプロペラを考案し、アメリカ大陸にいた1827年には大砲の緩衝装置までも考案しました。その他、彼の手記からはポータブル・ルームヒーターの考案図や実際に建築されませんでしたがセントポール寺院のモニュメントの建築設計図まであります。
そうした彼の偉大な発明とその功績に対し、1888年当時の土木学会会長よりロンドンにあるウエストミンスター寺院にトレヴィシックの4つの発明品を模ったステンドグラスウインドーが寄贈され、1932年にはイギリス政府よりトレヴィシックの出身地であるコーンウォール州のキャンボーンに彼の巨大な銅像を建立しました。そして2004年、イギリス王立造幣局からは世界最初の蒸気機関車の発明200周年を記念した2ポンド硬貨が発行されました。
リチャード・トレヴィシックの功績は多くのイギリス国民から現在でも称賛され続け、トレヴィシック生誕の地コーンウォール州のキャンボーンでは毎年4月に彼の偉業を称える祭り『トレヴィシック・デイ』が盛大に開催されております。